(トイ・プードル)
マスダ先生、初めまして。
私はトイ・プードルを3匹飼っています。
去年の夏のことなのですが、3匹を連れて車で出掛けて2~3時間ほど移動した後、その内の1匹(3歳、♀、リン)が少し元気がなくなってしまいました。
少し休憩してから、その後再び2~3時間の移動をしたら、さらにぐったり!!
すぐに動物病院へ連れて行きましたが、獣医さんには「熱中症ですね。」と診断され、治療していただきました。
車の中では3匹とも別々のキャリーケースに入れていて、他の子たちは全然平気な様子でした。
私が少し疑問に思ったのは、その日の気温はそんなに高くなく(日影では涼しいくらいの)、
天気は曇りで湿度もそんなに高くない、夏にしては過ごしやすい日だったのにどうしてリンだけが熱中症にかかってしまったのかということです。
車で走っている時は後ろの窓を1ヶ所開けて風通しも悪くなく、車内では呼吸も苦しそうではなかったんです。
夏の車での長距離移動はなるべく避けたいと思うのですが、3匹いるとどうしても移動手段は車になってしまうので・・・
マスダ先生のご意見を聞かせていただけたら幸いです。
よろしくお願い致します。
こんにちは。
昨年の夏にそれほど暑いとは感じられない車の中にいたリンちゃんなのに体調を崩し動物病院で診察してもらったら「熱中症」と診断されたとの事ですね。
熱中症は高い外気温や湿度の上昇による環境ファクター、あるいは自身の興奮・運動・年齢・体温調節機能の低下等による個体側のファクターにより体温が異常に上昇してしまう状態を言います。
熱中症になると自分で体温を調節出来なくなり、極度な体温上昇・意識の低下・呼吸や脈拍の増加・血圧の低下等の症状を現し対応処置が遅れると死に至ってしまうことさえある病気です。
個体側のファクターの体温調節機能の低下とは・・・例えば日ごろ、動物達(特にワンちゃん)の体温調節の方法は、「ハーハー」と呼吸をすることにより自分の体温より少しでも低い外気温の空気を取り込むことで体温調節をしています。
しかし、鼻や喉・気管等、空気の通り道に問題がある個体では換気不足により自分自身の体温を外に排出する効率が悪くなり熱がこもってしまい体温が上昇してしまう事があります。ここではこう言ったことを体温調節機能の低下と言いってます。
言い換えると、それほど外気温が高くなくても、密閉された環境では予想以上に湿度が上昇してしまったり、あるいは、温度も湿度もそれほど高くなくてもワンワン吠え続けたりハーハーと興奮し続け場合熱中症は起こる可能性があるということです。
特に体温調節機能に問題のある子ではちょっとしたことで自分自身の熱がこもっていき、暑くなるのでハーハーする、ハーハーするのでさらに暑くなるといった悪循環に陥ってしまうこともあり、本当に危険です。
りんちゃんは他の子たちに比べ興奮し易い性格だったり、日ごろ寝ている時にいびき等、呼吸時の空気の通りが悪そうな事は無いですか?
あと注意が必要な事は、キャリーケースの種類の中にも密閉度が高いものもあります。
そういった場合、リンちゃん自身の呼気で予想以上に湿度が高まってしまう事もあるかも知れません。
そういったことから、キャリーケースは換気の良いものの方が方が安全だと思います。
又、これからも車での長距移動をしなくてはいけない時にはリンちゃんのキャリーケースの中に小さな保冷剤を入れておくことも予防になるかもしれません。
ただし、保冷剤は咬んだり食べたり出来ないように注意しておいてあげましょう。
最後に長距離運転の場合自分自身のためばかりでなくワンちゃん達の様子を確認するためにも時々休憩を取ってあげましょう。
お大事にしてください。(2010.1.25)