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乳腺腫瘍について教えてください

(ネコ/メス/12歳/名前・にゃー)
6月末に手術をして乳腺腫瘍を切除したのですが、10月の末にまた同じような所(前の時の一つ上のおっぱいで続き右前足の脇)にしこりができてきました。
前回の手術の後の病理検査で、乳ガン、境界が不明瞭、リンパ管にも浸潤というようなことが書かれてあったし、大きくなってきているようだったので、再び手術をしました。その手術で縫った傷の斜め横に2cm×1cm程で少し盛り上がっていて硬い部分(しこり?)ができているんです。動物病院では、
1.筋肉がある所を縫ったし、日にちが経てば落ち着いて平らになってくる。
2.ガンが取り切れていなくて再発している。
3.リンパ節が腫れている。という可能性があるのでしばらく様子を見ると言われました。
18日頃に病理検査の結果が返って来るから、それを見てみて…とも言われました。
その盛り上がって硬くなっている部分が心なしか大きくなっているような気もして不安なのですが、もし再発しているなら、18日まで放っておいて大丈夫でしょうか?
再発か他のことかを今の段階で区別できる違いはありますか?(思伊さんより)


思伊さん、お久し振りです。
以前、思伊さんの二度のご質問(03年5月と6月)にお答え致しましたが、その後、思伊さんもにゃーちゃんも頑張って動物病院に行き手術をされたようですね。

一度目の手術で摘出したしこりは、病理検査で乳ガンとの診断で、しかも、
1.境界が不明瞭、2.リンパ管への浸潤もある
とのことで、言い換えると、残念ながら、
1.悪性のものであり、2.移転の可能性もある
ということだと思います。

その後、前回に近い所に再びしこりができ、03年10月末に二度目の手術を決断し、摘出手術を受けたとのことですね。
さらに、この二度目の病理検査の結果が出てくる前に、まもなく(正確な日数は不明ですが1〜2週間前後でしょうか?)手術した付近に新たに2cm×1cmくらいの硬結(しこり?)ができ、不安な状態でいらっしゃるようです。

確かに、診察して下さっている先生のおっしゃるような3つの可能性があるのは間違いなく、また、我々臨床医にとって一見しただけでは、その3つの可能性を確実に判断するのは難しいと言わざるを得ません。
それを少しでも判断するための材料を得るためには、以前に思伊さんのご質問にお答えした時にも出てきました「針生検(ニードルバイオプシー)」が有効です(「しこりについて」及び「乳腺付近のしこりの対処方法について」を改めて見直してみてください)。

こと乳腺腫瘍に関しては、針生検のメリットもたくさんありますが、常に正しい診断ができるわけではないといったデメリットもあります。
しかし、メリットに期待し、また、一般論的に言うと、針生検をした場合、1では炎症細胞が検出される可能性が高く、2の場合は乳腺の腫瘍細胞が検出される可能性が高く、3の場合はリンパ節の細胞(リンパ球)が検出される可能性が高く、三者を区別することが可能かもしれません。

18日頃に出てくる病理検査の結果を見てから判断するのも妥当な考えだと思いますが、思伊さんの現在ある不安をより早く解決するためには、やはり針生検をするのも、ひとつの良い方法だと思います。(2003.11.11)