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肥満細胞腫について教えてください

(フェレット/オス/3歳9ヶ月/名前・ニック)
はじめまして。フェレットのデキモノのことでお伺いしたいのですが、半月ほど前に耳の下1.5cmの首の続きところに皮膚の色より少し濃いピンク色で血のカサブタが付いた2mm×4mm位のデキモノをみつけました。
病院で診察していただき(何か判らないとのこと)抗生物質のお薬を処方され10日間飲ませましたが、ほとんど変化はありませんでした。
2回目の診察の時に抗生物質が効いていないのは肥満細胞腫(悪性腫瘍)の可能性があるということで切除手術を勧められました。麻酔のリスクと年齢的に事前に血液検査をするという説明をされましたが、手術するとはまったく予想していなかったので決められず、もう10日間お薬をいただいて様子をみさせていただくことにしました。
家に帰ってネットで調べてみたところ、手術する前に細胞を採取して検査したり、ステロイド剤を使ったりするところもあるようで、正直、何か判らないのに手術をするのは抵抗があったので、次の診察の時に細胞の検査をお願いしようと思いますが、気分を慨されないか心配です。
そこでお伺いしたいのですが、抗生物質が効かなければ通常切除するのでしょうか? 細胞を採取して検査することで何かリスクがあればお教えいただけないでしょうか?
肥満細胞腫は悪性の腫瘍と説明されましたが、私が調べたHPには、犬の場合は悪性が多いがフェレットは良性が多いとありました。どうなのでしょうか? お忙しいとは思いますがよろしくお願いいたします。(まみぃさんより)


まみぃさん、こんにちは。
フェレットのニックちゃんに小さなできものが出来て、抗生物質を投薬したが、変化がなく腫瘍の可能性があるので切除手術をすすめれたとのことですね。
まみぃさんはその切除手術の前に細胞を調べ(細胞診)、そのできものがどんなものなのか、本当に切除をすべきものなのかが判るものなら、細胞を調べたいとの希望があるのですね。
私自身も、手術前の細胞診を重要視している獣医師ですので、できればその方が良いのではないかと個人的には考えております。
一方で、手術前の細胞診は行なわず、そのしこりを切除手術して、切除したしこりを組織検査して、結果的にどんなしこりだったのか(腫瘍なのか否か、腫瘍であれば、どんな種類の腫瘍で悪性度はどの程度なのか)調べる方法も考えられます。
 
手術前に細胞診を行なうメリットは、
【1】手術前に、そのしこりがどんなものなのか(腫瘍なのか否か悪性度等)およその目安がつきます。
【2】その旨を飼い主さんに伝え、納得してもらえることができます。
【3】悪性度等およその目安がつくことにより手術の方針(どのくらい大きく切除するか等)を決める事ができます。
【4】手術後の治療方針を早めに決定できる場合もあります。
 
一方、デメリットとして考えられることは
【1】しこりが小さすぎて診断できるだけの細胞が採取できないこともあります(ニックちゃんの場合2mm×4mmということなので、細胞診しにくいかもしれないとも思われます。そこでかかりつけの先生は切除手術をすすめているのかもしれません)。
【2】体の表面のできものはかなり安全に細胞診できますが、体の内(胸の中・お腹の中)のしこりの場合、ケースによっては細胞診がしにくい、あるいは細胞診をすることが出血等の危険を伴うこともあります(これはニックちゃんには当てはまりません)。

以上を踏まえ、やはり、まみぃさんが、術前の細胞診を希望されるなら、先生に相談することは問題ないのではないかなと思います。
(先生が気分を慨さないか否かは、相談の仕方が重要なファクターだと思います)
また、フェレットの肥満細胞腫は一般的には比較的良性のものが多い(全てではありませんので、切除したできものは組織検査をして頂いて下さい)ので、切除だけで問題ないケースが多いと思います。しかしニックちゃんは細胞診をしていない現在、肥満細胞腫と断定することできないと思います。(2004.07.30)