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猫白血病ウィルス感染症の場合、散歩は無理ですか?

(ネコ/メス/8〜9ヶ月/名前・チョビ)
昨日、掛かり付けの獣医さんに「猫白血病ウィルス感染症」と告げられました。続き
陽性反応と検査数値の多少の異常はありますが、今まで何等気に掛かる体調不良は見当たりませんでした。今回、避妊手術と共に再々度の全部の検診をお願いした結果です。
6月1日に自宅の植え込みの中でおびえている子を拾ったんです。すぐに病院に連れて行き、虫も病気も無いとお墨付きをもらって喜んで同居し始めました。その後も月に1度はワクチン接種を含め、些細なことでもすぐ病院に行っては健康管理をしていたつもりです。ここ3ヶ月くらいは朝夕各1時間程散歩をするようになりましたが、もちろん私と共にです。この病気に関し先生がおっしゃるには、母子感染であった可能性が非常に高いとのことでした。
今混乱していて、今後どうしたら良いのか、特に散歩はあの子の唯一の楽しみであるだけに、判断に困っています。表に一切出さない様にし、病気の元に触れさせなければ飼い主は安心です。でも嬉しそうに楽しそうに、木に登ったり草むらに飛び込んだり、鳥や虫を追いかけたり、私とかくれんぼしたり…来週から病院でインターフェロンを投与します。トランファーファクタープラスというものも試そうと思っています(問い合わせ中)。免疫力を高めるという音楽CDも1日中掛けています。すみません、脱線しました。「散歩」はどうしたら良いでしょう。お忙しいことと思いますが、宜しくアドバイスお願いします。(鈴木さんより)


鈴木さん、こんにちは。
生後8〜9ヶ月とまだ若い年齢で、チョビちゃんは、猫白血病ウィルスに感染していることが判明してしまったのですね。
 
一般に、生後4ヶ月までの仔猫は、特に猫白血病ウィルスに感染を受けやすいと言われています。したがって、母子感染の可能性もかなり高いのですが、生後に感染してしまった可能性も捨て切れません。
要するに、生後に猫白血病ウィルスを持った猫に咬まれた又は舐め合ったなどの機会があったのかもしれません。
しかし、鈴木さん&チョビちゃんにとってみると、母子感染であろうと、生後に感染したとしても、あまり大差がある問題ではないのでしょうね。
 
本題に入りますが、鈴木さんのおっしゃるように、猫は狩猟動物の血を受け継いでいる動物なので、外で自由にしている姿を見ると、微笑ましい光景であり、「ストレス発散してるな」と感じます。
しかし、第15回動物病院だより「猫の室内飼育のすすめ」でもお話し致しましたように、色々な伝染病や交通事故・危険など、室外での問題は沢山あります。
鈴木さんの言う「散歩」とは、どんな散歩なのでしょうか? 犬の散歩のように、リードを付けての散歩でしょうか? それならOKだと思います。要は、他の猫に接触しないように注意しておいて欲しいのです。
もし、鈴木さんの言う「散歩」が、鈴木さんの目の届かない所にチョビちゃんが行ってしまうような散歩だとすると、いくつかデメリットが考えられますので、述べてみます。
 
1.他の猫に、猫白血病ウィルスを感染(伝染)させてしまう可能性(鈴木さんの目の届かない所で他の猫と接触したりすると)
 
2.更に、他の伝染病(例えば、猫免疫不全ウィルス=俗に言う猫エイズ)を感染させられてしまう危険がある。複数のウィルスに感染すると、更にやっかいなことになってしまいます。
 
3.健康状態の把握が難しくなってしまう。この項目に関しては、散歩程度なら大丈夫かもしれませんが、散歩が高じて外出時間が長くなってしまうと、健康状態の観察が十分できなくなってしまいます。
 
4.雨や、これからの寒さなど、体にストレスを与える可能性がある。
 
したがって、鈴木さんの目の届かない所に行ってしまうような散歩であれば、お勧めできません。
 
最後に、屋外での危険は沢山あり、どれも重大な問題ばかりです。
「猫は狩猟動物ですので……」とお話し致しましたが、室内飼育でも、一緒に沢山遊んであげて、狩猟本能を満たしてあげれば、十分にストレスなど感じずに生活できると思います。きっと、飼い主さんにとってもストレス解消になることと思います。
 
P.S.
猫白血病ウィルスの検査が1回だけ陽性であっても、1ヶ月後に再チェックしてみると陰転している(陰性になっている)ことが時々あります。そうなればラッキーです。1ヶ月後の再チェックでも陽性であれば、残念ながら、それ以後、陰転する可能性は極めて少ないと考えられます。その場合は、日頃の観察を良く行ってあげるように気を配り、症状の早期発見につとめることが大切になります。(2004.11.30)