記事一覧

アルカリフォスターゼが上昇する理由はなんですか?

(イヌ/オス/13歳/名前・ぺーたー)
室内で飼っている13歳の25kgの雑種犬です。血液検査での特にアルカリフォスターゼの値の続きあまりの高さに心配しています。
今年の3月末に腕を怪我して病院に行った際に、ついでに血液検査をしていただいたところ、アルカリフォスターゼが1134,GPTが454なので肝臓が衰えていると判り、Hill'sの肝臓疾患用の処方食とタチオンを出していただきました。
毎日1時間以上の散歩を2回元気に歩き回り、ご飯もいつでも喜んで食べていて病気とは考えたこともなかったのでびっくりしました。
それから、薬と食事は支持どうり与えてきました(野菜を煮たものを混ぜています。)
今日、2回目の血液検査をしたところ、GPTは432と若干下がりましたが、アルカリフォスターゼが2818とかなり上がっていました。今回から、薬はウルソに変わりました。尿検査の値には問題ありません。
飼い主の目にはすごく元気そうですし、お医者様も病気とかんがえて接する必要はないとおっしゃいます。
でも、アルカリフォスターゼの参考値は151とすると、20倍の値になります。GPTも10倍近いです。普通の生活を送っている犬でも、この数値はあるものなのでしょうか? それともどこか辛いはずなのでしょうか?
ぜひ、先生のお考えを教えてください。(大内さんより)


大内さんこんにちは。
室内飼育の13才雄、体重25kgのぺーたーちゃんが、3月末に腕を怪我して病院に行き、ついでにおこなった血液検査で、アルカリフォスファターゼが 1134、GPTが454、食事療法とタチオン投薬を試みた後、再検査でアルカリフォスファターゼが2818、GPTが432とまだ高値であるということですね。一方、当人のぺーたーちゃんは元気も食欲もあるとのことですね。

確かに、2回の検査の結果は異常値を示しているようです。
GPTやアルカリフォスファターゼの値が上昇する理由は大きくいくつか考えられます。
 
1つ目は、肝臓や胆管・胆のうに何らかの問題がある場合。
2つ目は、そもそも肝臓や胆管・胆のうには異常がないのにその付近の臓器に何らかの問題が起きた場合。
3つ目は、ある種の全身的な病気(例えば糖尿病や副腎皮質機能亢進症=クッシング症候群etc)の結果としてGPTやアルカリフォスファターゼが二次的に高値を示してしまう場合。
4つ目は、何かの病気の治療のため、ある種のお薬を投薬している場合。
5つ目は、食べ物(フードやおやつ)に問題がある(または問題はないがその個体にあわない?)場合。
 
以上が、ざっと考えられるGPTやアルカリフォスファターゼが高値を示す可能性のある原因です(こまかい事をいうとまだ色々あると思います)。

ちなみに、GPTは肝臓の細胞の細胞膜に存在する酸素で、アルカリフォスファターゼは胆管に存在する酸素です。
1つ目の肝臓や胆管・胆のうに何らかの問題があるケースひとつを考えても、血液検査のGPTとアルカリフォスファターゼだけで全てを語るのはむずかしいケースが多いと思います。ましてや前述した最低5つの原因を全て調べることはそう簡単なことではありません。
確かに、今回のケースのように何も症状を示さない場合、どう対処していくべきか非常に難しい問題になってきます。
このような場合の考え方として、

[1]そのまま様子を見て一定期間毎(期間はケースバイケースです)に再検査してみる
[2]現在おこなっているように肝臓に対する処方食やお薬を投薬して反応をみる(お薬は何種類かあります)
[3]もう少し踏み込んだ検査をしてみる(肝臓に関する他の血液検査項目・エコー検査やレントゲン検査等)
[4]考えられる全ての検査をする(例えば[3]で示した検査に加えて肝臓の細胞を一部取ってきて調べる)

もちろん、現在の状況から[4]までする必要はないと思いますし、[4]の検査は動物への負担も大きくなってしまいます。何かあったとして、それが将来ぺーたーちゃんの元気や食欲に問題が起きてくるものなのか否かは不明です。

幸い、ぺーターちゃんは元気も食欲も飼い主さんから見て、全く通常とかわらないとの事ですので、

[1]様子を見ながら時々(定期的)検査をして、値の変化とぺーたーちゃんの状態を見守っていく
[2]考えられる肝臓に対するお薬の投薬や処方食を食べさせ、定期的にチェックしていく
[3]現時点で(ぺーたーちゃんに負担のかからない程度の検査を)もう少し踏み込んで検査をする

以上が考えられます。
どの方法が良いのか、また、定期的なチェックをするとすれば、どのくらいの間隔をあけてチェックするのが妥当なのか、かかりつけの先生とよく相談する必要があると思います。
チェック間隔も一定ではなくても良いのかもしれません。例えば2〜3回チェックして、値がどんどん高くなっていくことがなければ、あるいは徐々に下がっていくようなら、チェックの間隔も少しずつ延ばしていけるかもしれません。(2005.6.13)