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排便時に虫が数匹出てきます

もうすぐ1歳の室内飼いの雄猫サリ−の排便時に、白い5ミリくらいの虫が数匹、うんちと共にでます。続き肛門の近くにその虫がいたこともありました。薬局で虫下しを買い飲ませました。
飲んだ当初は5〜7センチのひも状の長い物がうんちと共に出ましたが、また今日も最初の5ミリくらいの虫がでました。
虫下しは1ヶ月は飲用するのに間をあけるようにと書いてました。どうしたらいいですか?(サリーさんより)


サリーさん、こんにちは。これは、とても良い質問だと思います。
まず、重要な事は、犬も猫も(ウサギもハムスターも小鳥も)腸に寄生する寄生虫は一種類ではないということです。
サリーさんの場合も愛猫サリーちゃんから出た寄生虫は、
A.5ミリくらいの虫 と、
B.5〜7センチの虫の2種類 でしたね。
違う虫なのです。Aの5ミリくらいの虫はおそらく瓜実条虫(ウリザネジョウチュウ)という寄生虫で、いわゆるサナダ虫と言われているものだと思います。この寄生虫はノミが媒介者になるのでノミの予防や駆除も重要となります。さらに薬局を含め、市販の虫下しでは駆除できないので動物病院に行って相談して下さい。
一方、虫下しを飲ませた後、便と一緒に出てきたBの5〜7センチの物はおそらく回虫だと思います。薬局で購入した虫下しは回虫の虫下しだったのです。もう一度整理すると重要な事が2つあります。

■寄生虫は今回の2種類を含め、それ以外にも沢山の種類があります。
虫によって駆虫薬(虫下し)の種類が全て違い動物病院でしか扱えない駆虫薬がほとんどです(回虫を除く)
したがって寄生虫に関しては自己判断せずに獣医師に相談して下さい。

■年に2〜4回くらいは検便をしましょう。
寄生虫がいなければ虫下しをやる必要もないですし、もし寄生虫がいた場合は、検便をすれば何の寄生虫がいてどの駆除薬で駆除できるかその場で判断し、駆除する事ができます。

以前に私の病院で実際にあったケースです。
サリーさんと同じように5ミリくらいの瓜実条虫が出たので市販の薬を投薬し、次の日も同じ虫が出たので再び投薬し、その次の日も……。
結果的に瓜実条虫に全く効果のない市販の回虫の薬を3日間連続で(しかも3回目は投与した量も3倍近く)投薬した結果、肝臓を悪くしてしまい、黄疸になってしまった猫がかつぎ込まれた事がありました。自己判断の危険を思い知らされたケースです。
サリーさんの瓜実条虫は動物病院に相談すれば簡単に解決する寄生虫です。たかが寄生虫でも自己判断の危険性をお話しする事ができた点が今回のサリーさんのご質問のとても良かった所だと思います。(2002.11.6)