第13回
【知って得する動物の病気の豆知識 その9】
「糖尿病」
今回は犬や猫の糖尿病についてお話し致します。

 

“え!?犬や猫にも糖尿病なんてあるの?”と思われる方も多いかと思いますが、犬や猫にも実際に存在する病気なのです。しかも動物達が贅沢になってきた(贅沢にしているのは飼い主さんですが・・・。)近年、増加している現代病のひとつなのです。

 

糖尿病とは名前の通り、尿に糖が出てきてしまう病気です。この病気はすい臓から出る“インシュリン”というホルモンが充分に出なくなったり、インシュリンの効果が効きにくくなってしまうことにより起こります。
この“インシュリン”というホルモンは血糖値(血液中のブドウ糖の量)が高くなり過ぎないように血糖値を低くする働きがあり、従ってこの病気になり、インシュリンが充分に分泌されなくなると持続的に血糖値は高くなってしまいます(高血糖)。その結果血液中に余ったブドウ糖が尿に出てくるわけです。(尿は血液を腎臓でろ過してつくられます。)

 

従ってこの病気は血液検査や尿検査を行うことによって診断することができます。
血糖値が高い状態が続くと様々な症状を示すようになり、放置しておくと、重大な障害を起こしたり、場合によっては命に関わるようになってしまいます。

 

 

以下に糖尿病の代表的な症状を病気の初期から順に述べます。

 

糖尿病の症状
1.よく水を飲むようになる。
2.尿の量が増える。
3.食欲が顕著に増加する。
POINT:ここまでの状態で飼い主さんが気付き動物病院に来院してくれると良いのですが、この病気のことを知らずに“良く食べ、良く飲むので病気と気付かない”飼い主さんが非常に多いのです。

 

後期(末期)症状
4.眼(水晶体)が白くなってくる。(糖尿病性白内障:場合により失明することもある。)
5.急激にやせてくる。
6.食欲がなくなり吐くようになる。
7.沈うつ。
8.死。

 

犬ではおよそ200〜300頭に1頭の割合で発生します。(猫は犬より少々発生率が低い)又、次のような傾向があります。

 

糖尿病になりやすい犬・猫
1.美食・高カロリー食を与えられている肥満犬に発生しやすい。
2.5才以上、特に8才以上になると発生しやすい。
3.統計的にメスの方がオスよりも約3倍糖尿病になりやすい。

 

糖尿病の治療
犬や猫の場合ほとんどがインシュリン依存型というタイプの糖尿病であり、インシュリンの注射を毎日うたなくてはいけません。(ちなみに犬・猫には少ないのですが、インシュリン非依存型というタイプの糖尿病は飲み薬やダイエット等の食事療法でコントロールが可能なタイプで人でしばしば認められています。)

 

糖尿病の予防
糖尿病になってしまうと治療の項でお話ししましたように、毎日インシュリンの注射をうたなくてはなりません。それはとても大変な事なのです。従って予防できる事は予防したいですね。
予防は肥満にならないように食生活(美食・高カロリー食)に注意する事が一番です。肥満傾向がある犬・猫は適切な食事療法を動物病院の先生に指導してもらって下さい。(肥満は糖尿病以外にも心臓病、肝臓病、関節炎、皮膚病等様々な病気の発生ファクターとなります。)

 

定期検査の推め
よく水を飲むようになったり、尿の量が多くなったら動物病院で血液検査や尿検査をしてもらう事は当然必要な事ですが、犬も猫も5才(人に換算すると約36才です。)を過ぎたら健康に見えても1年に1回、血液検査や尿検査等定期検査を受けると良いと思います。糖尿病に限らず早期発見・早期治療が大切です。

 

 

今月は「糖尿病」ついてお話し致しました。
もの言えぬ動物の場合、飼い主さんが気づかってあげる事が重要なのです。(自分の愛犬・愛猫を肥満にさせるか否かも飼い主さん次第ですよ。)動物達が私達に安らぎを与えてくれるお返しとして、動物達が楽しく健康でいられるように気づかってあげる事が飼い主さんの務めとも言えるでしょう。

 

この「動物病院だより」が少しでも皆さんのお役に立てればと考えております。
他にもこんな事を知りたいという事があればお電話でも掲示板でもお気軽にご相談下さい。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです

 

 

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