第35回
【知って得する動物の病気の豆知識 その31】
「眼の病気(特に飼い主さんの立場より)」
今月は眼の病気についてお話し致します。

 

まず、眼の病気は大きく2つに分けられます。
1つは眼自身の病気、もうひとつはジステンパー・犬伝染性肝炎(この2つはワクチンで予防できます)・猫伝染性腹膜炎・糖尿病・リンパ腫のような全身的な恐い病気の1つの微候として眼に病変(症状)が出てくる事もあります。
従って、たかが眼の病気などとあなどると、大変な事にもなりかねません。

 

さらに、眼自身の病気にも、結膜炎・角膜炎・紅彩炎あるいはブドウ膜炎・網膜変性・網膜剥離・網膜出血・視神経炎・白内障・緑内障・眼球内の腫瘍……etc。ここでは全てを挙げて説明することは不可能なくらい、色々な眼自身の病気があるのです。そこで、今回は飼い主さんがいち早く眼の異常を見つけるための、いくつかのポイントを述べてみましょう。

 

■こんな症状に気づいたら必ず何らかの眼の病気があります

 

【1】左右の眼がなんであれ外見上異なっていれば、どちらかの眼が異常です(眼は必ず左右同じが原則です)
【2】左右のひとみ(瞳孔)の大きさが異なっていたらどちらかの眼が異常です。
【3】左右のひとみの色や虹彩の色が異なっていたらどちらかの眼に異常がある事が多いです。
【4】眼ヤニが沢山でている眼は異常です(特に黄色い眼ヤニは要注意)
【5】涙があふれ眼頭の毛が濡れていたり、茶色に変色している場合には異常があります。
【6】眼を細めてショボショボさせたり、前肢等で眼をこするような場合には眼に異常があります。
【7】ひとみ(瞳孔)が昼間白く見えたり、赤や緑色に見える眼には異常があります。
【8】必要以上にまぶしがる眼は異常です。
【9】まぶたに触れただけで痛がる眼は異常です。
【10】眼の表面(角膜)が白っぽく、濁った眼は異常です。
【11】白眼の部分や結膜(まぶたの内側が)充血している眼には異常があります。
【12】眼の表面が乾いたような眼には異常があります。
【13】物によくぶつかるようになったり、急に恐る恐る確かめながら歩くようになった場合には、眼に異常がある事が考えられます。

 

先程も述べましたように眼の病気の種類は沢山ありますが、いずれにせよ、たいていの場合、今示しました13項目のうち、最低1つ以上の症状を現すことがほとんどです。重要な事は、飼い主さんが眼の病気が何かを診断することではなく(診断するのは獣医師の役割です)「何か眼に異常があるかもしれない」といち早く気づいてあげ、動物病院での診察を受けさせてあげることです。その判断材料として、この13項目を頭に入れておいて頂けたらと思います。これらの症状には、緊急を要する重い眼の病気もいくつかあります。
また、たとえ、軽い眼の病気(例えば結膜炎等)だったとしても、放っておくと痒くて眼をこすってしまい、角膜に傷ができてしまうと眼の病気としては、ワンランク重症になってしまいます。そうなれば、もちろん完治するまでの日数、手間、費用、全てが多くかかってしまい、その間の動物の苦痛(痛みやかゆみ等)も大きくなってしまいます。眼の病気は一晩で急に悪化してしまう事も珍しくありません。
これらいずれかの症状に気づいたら、早めにかかりつけの動物病院に相談して下さい 。

 

 

今月は眼の病気の一般的な症状についてお話し致しました。

 

今回は眼の病気の1つ1つを詳しくお話しすることはできませんでしたが、飼い主さんの立場から、どのような点に注意していれば早く病気を発見できるかのポイントをお伝えできたと思います。ぜひ、参考にしてみて下さい。

 

もの言えぬ動物達の場合、飼い主さんが気付いてあげる事が重要なのです。動物達が私たちに安らぎを与えてくれるお返しとして、動物達が楽しく健康でいられるように気づかってあげる事が飼い主さんの勤めとも言えるでしょう。
そのためにも、この「動物病院だより」が少しでもお役に立てればと考えております。
他にもこんなことが知りたいということがあれば、お電話でも「ペット相談室」でもお気軽にご相談下さい。
Illust:LES5CINQ(Copyright 2002-2005 All rights reserved.)
※この『動物病院だより』は2002年から2005年まで『ペット情報サイトプチアミ』内で連載していたものです

 

 

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