ぷっぷちゃん

 

我が家にやって来た仔犬の名前は「ぷっぷちゃん」。
これまでは、皆それぞれに意味を考えて付けた名前でした。でも今回はなぜか何もひらめきませんでした。

そんな時「天才志村どうぶつ園」にDAIGOさんが出ていて、ずっと昔から可愛らしい動物を見ると「ぷっぷちゃん、ぷっぷちゃん」と呼び続けていることを知り、そのほのぼのとした雰囲気がとても気に入りました。

今回は“ただただ可愛い”それだけでいいな。逆にそれがピッタリかも!と思いました。

ということで、緑色のリボンをつけていたみどりちゃんの名前は「ぷっぷちゃん」に決まりました。

我が家には猫の愛花がいます。
ちょっと怖がりさんなので、仔犬が来ることでストレスがかからない様に、それだけは気を配ってあげなくてはと思っていました。

心配していたご対面は、お互いに緊張した面持ちで体が固まっていました。
最初こそ緊張していたものの、ぷっぷちゃんは愛花に興味津々。一緒に遊んでほしくてたまりません。
でも愛花の方は元気が良すぎるぷっぷちゃんにビックリして、“シャー”と言って、ぷっぷちゃんを近付かせません。

愛花はぷっぷちゃんから逃げたくて、ソファーの後ろに隠れようと全速力で走って逃げ、それをまた全速力で追いかけるぷっぷちゃん。それはもう大騒ぎです。
それでも喧嘩になる訳ではないので、しばらく見守ることにしました。

その後、 遊び疲れて眠ってしまったぷっぷちゃんを、愛花が静かに見ていました。そんな2匹が焦らずゆっくりと距離を縮めて行ってくれたらいいなと思いました。

4カ月経った頃には更に距離が近くなって、2匹一緒にくつろぐ姿も見られるようになりました。




仔犬を迎えて一番苦労する問題のひとつがトイレのしつけです。

トイレに行く度「ワンツー・ワンツー」とコマンドを決めて、しっかりしつけるつもりでしたが、ぷっぷちゃんは最初からサークルの中に用意していたペットシーツの上ですることが出来たのにはビックリ!

しかしサークルの外でしたくなったら、急いでペットシーツのある場所まで行って、用を足すことが出来るようになるかが問題です。

遊びに夢中になっている時に急にしたくなったらしく、自分から走ってトイレに入って排泄をしたのが、我が家に来て4日目の事。
トイレトレーニングはしているのですが、こんなに早く自分からトイレに入ってできるとは、思ってもいませんでした。本当に優秀なぷっぷちゃんです。

でも、やっぱりやりました。2回続けてうんちの失敗があり、主人も私も思わずうんちを踏んでしまいました。

また別の日にもシーツ以外の場所に幾つかした跡があり、よく出来ると思っていただけに、その失敗が残念な気がして「いつちゃんと出来るようになるのかな~」と、一瞬思ってしまったのです。

しかしそんな風に失敗をしながらも、遊んでいる最中や、ご飯後すぐにトイレに駆けて行く姿に、ぷっぷちゃんなりの頑張りが見られたので、沢山褒めながら根気よく見守って行こうと思いました。


“ぷっぷちゃんはお散歩が大好き♪”
と言っても、すぐにお散歩に行った訳ではありません。

混合ワクチンを打って免疫がしっかり出来るまでは、外の環境に慣らすために、抱っこしながらのお散歩でした。

お散歩デビューの前に、数日かけて首輪に慣らす練習もして、「いざ出発!」と思ったら、地面の匂いばかりを嗅ぎ続け全く歩こうとせず、道路に出ても嫌がって伏せたりグルグル回ってしまいました。

その後も“いい感じ~”と思ったら、また急に立ち止まり後ろに引っ張るので、首輪が抜けてしまわないかとハラハラ・ドキドキ。

小さなぷっぷちゃんにとって、沢山の車を見るのも、自分の体の近くを通ることも初めての体験なので、車の音に怖さを感じたのか、横断歩道の真ん中で突然伏せをして固まったのには驚きました。

それからお散歩が上手になる様に『ご褒美を使って名前を呼んだらアイコンタクト』という練習を続けた結果、少しずつ前を向いて歩けるようになって行きました。

また、ある時はお散歩中に急に立ち止まって動かなくなってしまうことがありました。“どうしたのかな?”と思って見ると、何やらじ~っと一点を見つめているのです。

幼稚園の遊具や工事現場の壁と音、 ごみ置き場の黄色いネットなど、私にとってはごく見慣れた光景が、ぷっぷちゃんにはとても不思議な物に見えたようです。

それに対して興奮して吠えたり、攻撃的になったら対応を変えますが、取りあえず“これは何だろう”と考えているだけなので、納得が行くまで付き合うことにしています。

社会勉強として、初めて経験するものが怖い物ではないんだと学ぶこんな時間も、ぷっぷちゃんにとっては大切なのだと思います。
しばらく見て納得すると、そこで動き始めるのでそこからまたお散歩の再開です。

この様に仔犬にとって初めて見るわんちゃんや小さなお子さん、車や工事の音、体の大きな男性などは時に怖く感じたり、不思議なものに見えたりするものです。

初めての体験で怖い思いをすると、それが苦手な物になってしまうので、上手に対応することがとても大切になって来ます。

そこで色んな方にぷっぷちゃんと同じ目線になって、フードをあげて頂くようにお願いをしました。
すると皆さんとても快く引き受けて下さり、ぷっぷちゃんも人とのふれあいを通して“人っていいな。優しいな♪”と感じることが出来たのではないかと思います。

そう言えば、お散歩をしていて困ったことがありました。
それは拾い食いです。地面の匂いを嗅ぎ続け、気になるものがあると口にしてしまい、ある時尖った木くずをササッと口の中に入れたのにはビックリしました。

この時も『ご褒美を使って名前を呼んだらアイコンタクト』の練習を繰り返してみました。
この様に、ひとつひとつの問題に対して適切に対応することで、今でも地面の匂いを嗅ぐ時はありますが、拾い食いをすることも無くなり、しっかり前を向いてお散歩が出来るようになりました。


今まで出来なかったことがある日突然出来るようになり、“仔犬の成長って本当にすごいな!”と驚いて感心することがよくあります。

入ってはいけないキッチンに入りたくて、扉にしがみついてキャンキャン鳴いていたぷっぷちゃんが少しずつ段階を経て、ある日少し開いた扉の前で、遠慮気味にじっとお座りしていたのには驚きました。

入ってはいけないと教えては来ましたが、自分の感情を抑え、その場でじっとお座りしているなんて本当にすごいと思いました。

しかし、どうしてもできなかったことが、私がお風呂に入っている時に静かに待つことでした。
この件でも一時とても悩み、克服するのにしばらく時間がかかりましたが、試行錯誤しながら徐々に解決をして行くことが出来ました。
「一人で置いて行かないで!」とあんなにキャンキャン鳴いていたのに、ある日突然自分からクレートに入って寝始めた時にも本当に驚きました。

問題の渦中は“この先どうしたらいいんだろう”と本当に悩んでしまいますが、どんなことも仔犬が最初から理解し受け入れられる訳ではないことを、こちらが受け止めてあげることが大切なのだと思います。

その上でどうしたら解決するのか色々試しながら、その子にとって良い方法を探してあげることが解決への近道になるのではないでしょうか。
仔犬は時間をかけて色々なことを覚えて行き、成長と共に受け入れられることも増えて行く様です。


ぷっぷちゃんはおもちゃが大好き!
いつも夢中になって遊んでいます。

ぷっぷちゃんの一番のお気に入りは何と言っても“プープーピーピー”鳴るおもちゃ。
ひとりで飽きずにずっと鳴らして遊んでいます。

ロープやぬいぐるみも大好きで、お散歩で一時間ほど歩いた後でも、まだ動き足りないのか帰って来るなりおもちゃをくわえて走り回っています。

遊んでほしくて私の所に持って来るのですが、いつも相手をしてあげられる訳ではありません。

すると、ぬいぐるみを自分で投げて遊び始め、それは有難いのですが、その内噛んで穴を開け、中の綿を出してしまうのには本当に困ります。

そんな時、空の牛乳パックを投げてみました。すると猛ダッシュで取りに行き、夢中になって噛み始めたのです。

それからは大きな箱や封筒などをビリビリ噛んで口にくわえて運んだり、時には飛ばしてみたりと、それはそれは楽しそうに遊んでいます。

それにも飽きたら、最終兵器の噛むおもちゃ『デンタルボーン』の登場です。デンタルボーンをもらって、超ご機嫌なぷっぷちゃんです。

ぷっぷちゃんは欲しい物を力づくで取ろうとはしませんが、中には威嚇して手に入れようとする子もいます。

待つこと、我慢すること、譲ることなど家庭でのルールを教える上でも、おもちゃ遊びを通して学べることはいっぱいです。
仔犬の有り余ったエネルギーを発散させる時や、動き回って体力をつけ健康的に成長して行く上でも、おもちゃが大切な役割を果たしてくれます。


仔犬の困った問題のひとつに、無駄吠えがあります。

ぷっぷちゃんは静かに待つことも出来ますし、お散歩中に他のワンちゃんを見ても吠えることはありません。でも病院に来るワンちゃんの声に反応して吠えてしまうのです。

最初に“吠えた瞬間に名前を呼んでこちらに来たらご褒美”と、“「シー」と言って吠えるのを止めさせる”ことを試してみました。
しかし、私の声が耳に入らないのかほとんど効果が無く、半ば諦めのような気持ちになってしまいました。

それが3カ月した頃に外のワンちゃんに気付いて窓に向かっている時に「ぷっぷちゃん」と呼んでみたら、私の声を聞いて戻って来たのです。これはすごい成長だと思いました。

犬に対して“吠えてはいけない”ということは、人間に“話してはいけない”ということと同じことだと思うので、吠えてはいけないのではなく、「今は静かにしていてね」というスタンスでいいのかなと思います。
この件に関しては、これからも根気よく続けて行きたいと思っています。

仔犬のぷっぷちゃんが我が家にやって来たのが約1年半前。
この間を振り返ってみますと、本当に色々なことがありました。ぷっぷちゃんも随分と成長し、私もぷっぷちゃんと過ごす中で、ハ~ト君とお別れした悲しみがいつの間にか癒されていったように思います。

心配していた愛花との関係も、程よい距離を保ち、いい関係を築くことが出来たようです。

無邪気に元気いっぱい駆け回り、私達に笑顔を運んで来てくれた天使のようなぷっぷちゃん。そんなぷっぷちゃんと出逢えて、本当に本当に良かったと心から思っています。

ぷっぷちゃん、いつも本当にありがとう。
これからも毎日楽しく暮らして行こうね。ずっと一緒だよ♪

担当 増田葉子

 

 

 

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