マスダ動物病院のエピソード
丸ちゃん家の小弥汰君
2017年の秋に、スタッフの丸ちゃんがお家で飼っている小弥汰君をブログ上に紹介してくれました。そのお話を読んで、私は胸がいっぱいになりました。

哀しい状況下にいた小弥汰君が丸ちゃんのお家の子になり、沢山の先輩わんこのお兄ちゃんやお姉ちゃんたちと一緒に楽しく過ごしている様子がなんとも愛らしく、どの写真からも陽気で明るい小弥汰君の、のびのびとしあわせいっぱいな様子が伝わって来て、見ているだけで胸があたたかくなりました。また先輩わんこの小鉄ちゃんやのぞみちゃん達も、若い小弥汰君を優しく受け入れ、仲良く眠っている姿も本当にステキです。

捨てられて一人ぼっちだった子が、こんなにしあわせになっているということを、是非皆さんにも知って頂きたくてエピソードにまとめて載せさせて頂くことにしました。
元気いっぱいの、小弥汰君のお話を是非ご覧くださいね。





今日ご紹介させて頂くのは、シーズーとマルチーズのMIXと思われる推定年齢5歳の男の子。
名前を「小弥汰( こやた )」と言います。 

小弥汰は里親募集されていたところを引き取る事になり、3歳で我が家にやって来ました。
既にのぞみ・小鉄・信長と高齢の犬達が3匹と猫も3匹家に居たのですが、すぐに打ち解け先輩わんこ達からいろいろ教えて貰いながら明るく元気いっぱいに過ごしています。

そんな中、今年(2017年)の夏に私の結婚式があり、家の子を参加させたいと言う思いから、動物が参加できる式場を選び、小弥汰は挙式中に結婚指輪を運んでくれるリングドッグとしての大役も務めてくれました。



そして実は猫の「カイロくん」も猫代表として小弥汰と一緒に式に参加させて貰っていました。(ずっとトイレに隠れていましたが・・・)

本当はのぞみ・信長・小鉄の3匹も式に参加させたかったのですが、高齢で家から式場まで車で1時間かかる移動の負担や、小鉄は足腰も衰え寝たきりに近く誰か見ている人が居なければならない事などもあり、姉と家にお留守番させる事にしました。

この日挙式や披露宴会場に行く前に、待合室で招待客のお出迎えもしてくれていて大忙しの小弥汰くん。
本番ではコースアウトをしてしまい愛嬌のある姿を見せた小弥汰でしたが、リハーサルではしっかりとバージンロードを通り指輪を届けてくれました。


この日は皆さんから良い子良い子と褒められ、終始ご機嫌・ご満悦な様子で、沢山の人を前に猫をかぶって愛嬌を振りまいていました。

「お家でも良い子でしょ?」と沢山の方に言って頂いて嬉しい限りですが、家でも大人しくてお利口さん・・・なんてことは全く無く、いたずら大好きでうるさい位元気いっぱいな“かまってくん”なんです。 

今でこそ大分落ち着いて来た小弥汰なのですが、里親になり連れて来た当初は、本人も何が良くて何がダメなのか全く分かっておらず、目を離した隙には色んなものを壊され・・・人が来るとけたたましく吠え・・・。

家の中でもマーキングをしてしまうため、常にマナーベルトが手離せない、まさに暴れん坊将軍だったんです!

そんな小弥汰は、今から3年前の2014年に我が家にやって来ました。

実家には以前にもブログでご紹介させて頂いている、のぞみ・小鉄・信長の犬3匹と、猫3匹が居ましたが、なぜこの状況で新たに犬を迎える事になったかと言うと、一番年上ののぞみがこの時15才、続く小鉄も14才、信長は13才と、我が家の犬たちは高齢犬たちばかり・・・。

一日の大半を3匹で寝て過ごしており、これから更に年齢を重ねて行くにあたって、のぞみ達だけでは生活のハリが無くなってしまうことや、また、のぞみ達が動けて元気なうちに新しい子を入れる事で、新しく来た子も他の犬との共同生活を覚えやすいだろうと家族で相談し、姉がもう1匹新しい子を飼うことを決め、里親を募集している犬達の中から巡り合ったのが小弥汰でした。

小弥汰は泥まみれでガリガリに痩せている状態で放浪している所を保護され、迷い犬の届け出も無く、ドッグラン兼里親のボランティア活動を行っている施設から里親募集がかけられたのですが、なんとその日がちょうど姉の誕生日でした。
運命的な出会いに姉も一目で気に入り、早速連絡を取りまずは顔合わせを行うことになりました。

私と姉の2人で会いに行くと、推定年齢は3歳~4歳ほどで、顔はシーズー似でパッチリアイラインの目が凛々しく、毛質や体格はマルチーズ似の男の子。性格も明るく活発で、新しく迎える子としてピッタリでした。

施設の方から困った問題として、トイレのしつけが全く出来ておらず、家中どこにでもオシッコ・ウンチをしてしまうとの話がありましたが、元々家の子達も家の中でトイレが出来ず、数時間おきに外でさせている事や、今はみんなおむつ生活になっている事と合わせて、家の中ではマナーベルトをする事で、そんなに困った問題にはならないだろうと言う話になり、こうして小弥汰が家族の一員に加わりました。


初めて我が家に来た日、家にはすでに犬も猫も沢山いる事や、知らない環境に初めは緊張してしまうだろうと、施設の方が今まで使っていたクッションを貸して下さったのですが、そんな心配も全く必要なかったほど堂々とベッドの上でくつろぎだし、まるで以前から家に居たような馴染みっぷりには家族皆で驚かされました。

日中は小弥汰がちょこまかと動くので、のぞみたちの良い目覚ましにもなり、のぞみは小弥汰のちょっかいが過ぎると喝を入れて叱り、しっかりと犬間関係?の教育をしてくれています。
小鉄も一緒に遊ぼうと張り切りだし、おかげで上の子達は小弥汰から元気をもらってシャキッとし、小弥汰は家庭での生活の仕方を上の子達から教えて貰い、お互いの良い刺激になってくれました。

「小弥汰」と言う名前は、他の犬たちの名前と合わせて和風名の中から、珍しいけれども呼びやすい名前を捜し、姉が漢字の画数まで調べ、「太」よりも「汰」の方が良いとの事で「小弥汰」となりました。

家に来た当初は咬みたい欲求が強く、音の鳴るおもちゃも与えたそばから幾度となく壊され、廊下にはウンチが転がっていたり、敷物や家具にオシッコされてしまったりとしつけが全くできていなくて大変でしたが、最近はやっと噛んでも良い物と悪い物と区別がつくようになり、トイレの失敗も減って来ました。(まだマナーベルトは手放せませんが・・・)

物覚えは意外と良く、「お手」や「おかわり」「気をつけ」「ジャンプ」なども教えるとすぐ覚えたのですが、集中力は持続しないタイプの様で、どうしても静かにお留守番だけは出来ず、まだまだ勉強中の小弥汰です。


こうして新たな生活が始まってから、3年が経ちました。

散歩は4匹揃って行っていますが、のぞみ達は短い時間に分けて日に数回行くようにしています。(足腰が弱くなった小鉄は、カートに乗せて移動させています。)

のぞみ達の散歩はとてもゆっくりなので、小弥汰は何度も後ろを振り返り、前後を行ったり来たりしながらのぞみ達が追いつくのを待っています。

しかし、それだけでは若い小弥汰にはもの足りないので、小弥汰だけ別に散歩に行くようにもしています。

小弥汰が家に来るまでは、皆高齢になってから家に来た子達ばかりだったので、遠出の散歩に出掛ける事が出来ませんでしたが、休日は小弥汰を連れて色々な所に出掛けるようになりました。

小弥汰はお出掛けが大好きで喜んで車に乗り込みます。

車での移動中は膝の上でお利口にしてくれるので楽なのですが、少しの間でも車の中でお留守番させると、吠えて暴れてしまうのには困ってしまいます。時にはワイパーを動かされてしまっていた事もありました。
それでも小弥汰が来てからは出掛ける機会も増え、とても嬉しく思っています。


春になったら桜を見に行ったり。
菜の花にチューリップ、いろんな花が咲いていてお出掛けにはピッタリ。

毎年5月には藤棚祭りにも出掛けています。
この日は真夏の様な暑さだったのですが、グイグイとリードを引っ張って張り切っていました。

後先考えずに突き進むタイプなので、細めに休憩を入れながら散歩するように気を付けています。

夏は冷房の効いた涼しい家の中でのぞみ達とのんびりお昼寝を楽しんで過ごしています。
そして、夕方涼しくなってから近くの川の河川敷を散歩するのが日課になっていました。

秋になったら、また思いっきり走って遊んで ・・・。

冬は毎年恒例の年賀状の写真撮影会の開催です。 

その年の干支の着ぐるみを買って全員で写真を撮るのが恒例ですが、のぞみ達は眼も耳も悪くなって来たので、「待って」をする事が難しくなって来てしまいました。
いつまで全員揃って写真を撮れるか分かりませんが、記念として出来るだけ続けて行けたら良いなと思っています。



こうしてすっかり丸澤家の一員となった小弥汰ですが、最近は高齢ののぞみに代わり「ひだまり倶楽部」のボランティアにも時々参加しています。

集中力が持続しないのが難点ですが、おばあさんやおじいさんの膝の上で大人しくしており、小弥汰も撫でて構って貰えるのを嬉しく思っているようです。
ココアやハート君と一緒にお手やジャンプなどの芸も披露していますが、小弥汰はやる気が先走ってしまい本番がなかなか上手く出来ません。
それでも施設の方達には大変喜んで頂けて嬉しく、こうして少しでも癒しのお手伝いが出来たら良いなと思っています。


結婚をし、実家に居る小弥汰とはなかなか遊ぶことが出来なくなりましたが、これからも沢山の思い出を作っていこうと思います。

小弥汰、今度はどこに行ってみようか?
これからもいろんな所にいっぱい行ってみようね。



 
担当 丸澤




小弥汰君、とっても楽しげで、しあわせそうですね。
丸ちゃんがお話してくれたように、小弥汰君も高齢者施設における動物ふれあい活動のボランティアに参加してくれることがあるんですよね。その中で披露する芸がまだうまく出来ないと丸ちゃんは言っていましたが、元気いっぱい楽しそうに頑張る小弥汰君に会場の皆さんが癒され、笑顔の輪が広がっていきます。
小弥汰君の愛らしい姿だけでも、充分周りの皆さんをしあわせにしてくれているので、“小弥汰君、これからも頑張って♪ よろしくね!!”

今でも悲しい状況を強いられている動物達がまだまだ数多くいる中、小弥汰君の様に一匹でも多くの動物たちが、新たなしあわせを手に出来ますようにと心から願っています。

増田葉子

 

 

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